・第76回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: イスラームの宗教性 −日本人の宗教観と比較して−
日 時: 2012年12月19日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル 5階会議室
講 師: 小田 淑子 (おだ よしこ) 様 (関西大学文学部教授)
中東では、イスラエルとパレスチナの問題が再燃しています。私達日本人にはなかなか分かりにくく、
ただ「憎しみ」と「報復」の連鎖が繰り返されている様にしかみえません。
この様な、イスラームについて、関西大学の小田淑子先生を講師としてお迎えし、お話を頂きました。
小田先生によると、「日本人は、死者儀礼(法事、墓参)に参加し、神社にお参りしながら、自分は
無宗教だと公言する人がかなり多い」が、それは、日本人が、多神教で、健全な日常生活を送るだけで
あれば宗教は必要がなく、宗教は病や死に直面すると頼るものと考えられているからではないかと
お話しされました。それに対し、イスラームは、一神教で、全員在家の宗教で健全な社会生活そのものが
宗教的生活の場であると捉えており、コーラン(イスラム法:戒律)で、儀礼だけでなく、婚姻や
相続等まで定めている。結果、政教一元管理の生活共同体がイスラムだそうです。
小田先生のお話しをお聞きして、断片的な理解ですが、日本人は多神教であるがゆえに、政教分離の考えが
あたりまえで、婚姻や相続等まで制約を受ける事の理解ができないため、イスラムの世界が日本人に
理解できないのだという事が、少しわかった気がしました。
・特別報告会
テーマ: 「Rhein-Radweg スイスからオランダへ」
〜ライン川1,400km 自転車旅行〜
日 時: 2012年 12月19日(水曜日) 16:00〜17:30
場 所: 梅田エステート・ビル 5階会議室
講 師: 奥野 守 (おくの まもる)様 (正会員/幹事)
2009年のロマンチック街道484km自転車走破に引き続き、2012年5月23日から
7月4日の43日間でライン川1420km(ドイツのフライブルグ〜オランダのアムステルダム)
を自転車旅行された時の体験談をお話しいただきました。道を聞く/教えてもらう/
親切を受ける/助けてもらう/友達になる等沢山の好意を受ける事で、思い出の残る旅行と
なった様です。沢山の好意に対して、お土産に用意した日本製の箸をお渡しされたそうです。
・第75回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「クリスマスと霜月祭」 −日欧の文化比較、信仰と食の立場から−
日 時: 2012年11月28日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル 5階会議室
講 師: 太田 達 (おおた とおる) 様 (老松主人、弘道館館長)
有職菓子御調進所「老松」の主人で、「信仰と食」に関連する文化のご研究等
多方面でご活躍中の「太田 達 様」をお招きして、クリスマスと霜月祭をテーマに
日欧の共通点を検証し、文化比較についてお話頂きました。
霜月は「霜が降る月」というのが通説のようですが、暑い夏から一転、厳しい季節に移ります。
また、11月になると街にはクリスマスの賑わいが感じられる様になります。今やクリスマスは
地球上において、イスラム圏をのぞくほとんどの国でビッグイベントの様相を呈しています。
北半球ばかりではなく南半球においても、波乗りサンタなるものまで登場しています。
キリスト教においては、クリスマスは「キリストの降誕を祝う祭日」として位置づけられていることは
周知の事となっていますが、実はその起源は、古代ローマのミトラ教や、ゲルマンのユール祭の
「冬至祭」にあると説明いただきました。つまりクリスマスはこの冬至の祭りを転用したものでは
ないかとされているとの事。
日本でも、「お火焚」「報恩講」「霜月祭」などの祭りは、
キリスト教のクリスマス同様、生命力の落ちる厳しい冬を乗り切る為に、夜の最も長い冬至の日に
行われるようになったと云われているそうです。
祭りなど風習のルーツを辿っていくと、洋の東西を問わず文化が繋がっていることを
感じた楽しい一時でした。
・第74回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「マチュ・ピチュ−その虚像と実像」
日 時: 2012年10月24日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル 5階会議室
講 師: 藤井 龍彦 (ふいじ たつひこ) 様 (国立民族学博物館名誉教授)
国立民族学博物館名誉教授 藤井龍彦様には、2011年8月の月例会にて
「文明の形成−東半球世界と西半球世界−」というテーマでお話しいただきました。
今回、再度お招きしまして、今まで多くの謎に包まれていた世界遺産「マチュ・ピチュ」について、
近年の研究結果に基づきその虚像と実像について、お話を頂きました。
「マチュ・ピチュ」は日本人に最も人気のある観光地の一つで、アンデス山麓に属するペルーの
ウルバンバ谷に沿った高い山の尾根(標高2,430m)に所在する、インカ帝国の遺跡で、
未だ解明されていない多くの謎がある遺跡です。
アメリカの探検家ハイラム・ビンガムが、1911年7月24日に「発見」し、「砦」や
「太陽信仰の神殿都市」と推定したが、発見されてから100年目の昨年、バーガーとサルサル夫妻が
再調査を行った結果、発掘品の土器や建物が全て15世紀のものであり、王室の農園、
王室の家族やインカ貴族のための田園の保養所であったと結論づけたそうだ。また、
その遺跡の価値は、何と言っても昔のまま残っているところだそうです。ただ、
「マチュ・ピチュ」に関しては今なお1930 年(発見後19 年目)に書かれたビンガムの著書
『失われたインカの都市』の影響が非常に大きいとの事。「謎の遺跡」への人気の秘密が
少し理解できた気がしました。
・第73回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「川柳の楽しみ」
日 時: 2012年 9月26日(水)(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: ギャラリー・ミューゼポンヒゴ(Musee Pont Higo)2階
講 師: 大西 泰世 (川柳作家)
NHKの川柳講座などでも著名な大西泰世先生を講師としてお招きし、
川柳創作の楽しさを実際に体験しました。
参加するに当たって、参加者全員が
『秋』というお題で川柳を2首用意し、川柳の起原や歴史などのお話をして頂いた後、
参加者の皆さんの作句について具体的にご指導頂きました。
川柳は、「川柳は口語表現とする」、
「皆が知っている普遍的な単語を使う」事、要は「言葉がやさしくて、意味が深く、
誰にでもわかる」様に作句する事とご指導いただきました。言い換えると、
「説明が必要な句にならない句を読む様にする」事だそうだ。
笑いの絶えない楽しい川柳講座となりました。
・第72回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ:「インド、ラバーリーの刺繍布と通過儀礼」
〜 牧畜社会にみる伝統的形態の継承を考える 〜
日 時:2012年8月22日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所:梅田エステート・ビル5階
講 師:上羽 陽子 (うえば ようこ) 様 (国立民族学博物館助教)
インド、ネパールなどを中心とする地域を繰り返し訪問し、この地域に暮らす人々の
調査・研究されておられる「国立民族学博物館 助教 上羽陽子様」をお招きし、
インド西部のクジャラート州カッチ県のラバーリーという民族の女性が作りだす刺繍に
焦点を当て、お話をしていただきました。
ラバーリーと呼ばれる人々は、約2,500〜3,000世帯程度の少数民族の人びとで、
年間降雨量400 oの乾燥地帯という自然環境の中、ラクダやヒツジ、ヤギなどの牧畜を
生業としている民族です。
ラバーリーの女性は、絞りや刺繍を施した手作りの衣裳を着ます。未婚、既婚、妊娠中、寡婦
によって衣裳デザインは異なり決められているとの事。刺繍の実物をみせていただきましたが、
細かな刺繍で、ガラスミラーを四角、丸、菱形等に小さく加工して縫い付け、文様も木々、花、
ラクダ、亀、猫、自転車等を豊かな色彩と多彩な表現をしたものでそれは美しいものでした。
刺繍布は、婚資、持参財として扱われ、命名儀礼時に邪視除けとして幼児に着せる等の
役割を果たしているそうです。
ただ、このような刺繍の制作は、非常に負担がかかるため、婚資や持参財が用意できず
結婚の延期や中止、教育問題等、様々な問題が生じたため、婚礼衣裳、日常衣裳、
持参財としての刺繍禁止令(販売目的の制作はOK)が出されたようです。
ラパーリーの女性達は、代わりに布テープやレースを縫いつけたりして衣裳を制作している
との事。販売目的の制作は、伝統文化を重んじるラバーリーの女性達に指定通りの制作を
委託するのは難しい様で、実際はラパーリー以外の女性達がデザインや制作を行っているとの事。
素晴らしい伝統文化が継承されず廃れていくのが予想されるだけに、ちょっぴり残念
な気がしました。
・第71回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「スマート・グリットと今後の電力供給」
日 時: 2012年7月25日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 山藤 泰 (さんとう やすし) 様 (関西学院大学 大学院 客員教授)
欧米のエネルギー事情に詳しい関西学院大学大学院の山藤泰客員教授にお越し頂き
スマート・メーターを導入することにより、どの様に電力供給事情が変わってくるのか、又、
スマート・メーターを各家庭に普及するためにはどの様な社会的・政治的な施策が必要なのかを
分かり易く解説して頂きました。
「節電」とか「省エネ」とか云うと、何か普段の生活を切り詰めるとか、我慢すると云う様なイメージ
になりがちですが、しかし実際は、生活の質を落とさず、エネルギーを効率よく発電し利用すること
は、スマート・グリッド(次世代送電網)という技術を用いて実現できるそうです。
各家庭にスマート・メーターという、ITを駆使した賢い電気メーターを設置して各家庭の
電力使用量を把握し、電力会社が需要の変動に対応したり、また、逆に電力会社から家庭に節電要望を
出したりできます。この様な送電網ができれば、電力会社も変動の大きい風力や太陽光発電など
自然エネルギーの活用もし易くなるそうです。
スマート・メーターは米国、カナダ、欧州連合(EU)更には中国などで導入が進んでいますが、
日本では随分と遅れており、改善するためには、戦後の成長を支えてきた電力会社による電力供給の
仕組みを変えなくてはならないとの事。電力会社間で電力の融通をしようにも相互の連携容量は小さく、
連携容量を増やしたり、「発電する」、「送電する」を分離して、競争原理が働くような仕組みに
変える必要があるのではとのお話しでした。
・第70回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「上方落語 よもやま噺あれこれ」
日 時: 2012年 6月27日(水)(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 古印亭 勝丸 (こいんてい かつまる) 様 (社会人派上方落語家)
元大蔵省造幣局の職員で、在職中から「勝丸」を名乗って今日まで
51年間話芸を磨いてこられている「古印亭勝丸」さんをお招きしてお話をお聞きしました。
定年退職後は、毎年数多くの高座に上がられ、特に、北前船寄席を精力的に開催され、
北海道との落語交流にもご尽力されておられるそうです。
最近のテレビでは、多くの若手芸能人が出演する芸能番組が朝から晩まで間断なく放映されています。
しかし、「話芸」としての浪曲や講談、落語などは公共放送のNHKでたまに見かける程度です。
落語の起原は諸説あるようですが、江戸時代中頃からと云われています。上方落語とは、江戸落語と
区別して大阪・京都を中心とする地域で演じられる落語のことを云うようですが、現在では京都落語は
姿を消し、専ら大阪落語のことを指しています。
平成の時代になっても、「お笑い(芸)」に対する世間の関心は衰えてはいませんが、落語家も
「お笑い芸人」という分類に入れられ、「話芸」のプロとして芸を披露する機会が少なくなって
きているのは残念な現象と云えます。
落語にまつわる様々なお噺を聞かせて頂きながら、同時に落語もご披露して頂きました。
・第69回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「地域社会の歴史的成り立ち −古代と中近世−」
日 時: 2012年5月23日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 坂井 秀弥 (さかい ひでや) 様 (奈良大学文学部文化財学科教授)
文化財保護行政論/古代から中世・近世における地域社会基盤の研究をされて
おられる奈良大学教授の「坂井秀弥様」に、「地域社会」の骨格がどのようにして形成され、
現在のムラ・マチがいつできたのかなどについて解説して頂きました。
16歳の1971年初秋に、飛鳥の甘樫丘に立たれた時、古代と出会って憧憬をもたれ、
同じ新潟出身で大先輩「会津八一」が奈良を愛した訳をお感じになられたそうです。
「現在の県庁所在地の7割は16世紀以降の城下町であり、それまでの集落は基本的に
江戸時代まで継続せず廃絶している」等について、新潟で発掘された中世の集落遺跡、
奈良環濠集落、新潟県村上市の城下町、津和野/小田原城下町、等の考古学等の資料を
もちいて解説していただきました。また、古代の行政組織について、66ケ国とその傘下の
約600の郡からなり、国や群にはそれぞれ役所がおかれ、各群の役所は郡庁/正倉(倉庫)
/厨家/館等がおかれていたとの解説をいただきました。有名な東大寺の正倉院は、東大寺が
郡の1つであり東大寺の倉庫であった事を示しているそうです。
・第68回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「江戸時代の出版−和本の楽しみ−」
日 時: 2012年 4月25日(水)(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 廣瀬 千紗子 (ひろせ ちさこ)様 (同志社女子大学教授)
近世文学や芸能史がご専門の同志社女子大学教授の廣瀬千紗子先生をお招きして
「江戸時代の出版−和本の楽しみ−」と題しまして御講演いただきました。
現存している最古の印刷出版物は、称徳天皇が鎮護国家功徳の為、770年に印刷された
陀羅尼経「百万塔陀羅尼」だそうです。文学的な書物が印刷されたのは、1608年に出版
された光悦本とも呼ばれる嵯峨本「伊勢物語」が初めてで、仏書が中心であったのが、
医書、歌書、俳諧、草紙等の出版物が増え続け、1692年の「公益書籍目録」に7204点、
1696年「増益書籍目録大全」には7800点と紹介されているそうです。欧州では、
「活版印刷」が主流で発達しましたが、日本の場合、漢字など文字数が膨大ですので、
「木版印刷」主流で発達しました。「木版印刷」は文字と絵を同時に印刷できるメリットが
あるため、1748年人形浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」が初演される頃になると、江戸で戯作
(洒落本等)や、錦絵として花開き、日本独自の庶民文化発展に貢献したようです。
地誌「京羽二重」、「都名所図絵」、「三升増鱗祖」、「奥の細道」等の実物を実際に見せて
頂きながら、「書物の文化」について体感いたしました。「京羽二重」に、記載されている
「京都二条車屋町 平楽寺」という今でも現存している本屋さんも記載されている事に
ビックリしました。
・第67回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
テーマ: 「ドイツの脱原発政策と再生可能エネルギー」
日 時: 2012年3月28日(水曜日) 18:00〜20:00
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 藤澤 一夫 (ふじさわ かずお) 様 (元 ドイツ和光純薬社長)
元ドイツ和光純薬社長として長年ドイツに在住されていた藤澤一夫様にお越し頂き、
ドイツにおいて、終息に向かう原発と、それに代わって急拡大を続ける再生可能エネルギーの現状を
最新のデータとたくさんの写真で解説して頂きました。
昨年3月の東日本大震災による未曾有の原発事故で、世界の原子力発電を取り巻く環境が大きく変わり、
「フクシマ」は世界の原発政策の転換点となりました。日本では、原発問題に関して相変わらず
曖昧な議論に終始し、方向性が定まらないまま今日に至っています。他方、ドイツでは福島原発の事故を
教訓に、いち早く「脱原発」を国家の方針として決議し、それをベースにしたエネルギー政策が既に
始動しています。今や、ドイツ国民の間には、原子力発電に対する迷いはなく、ただひたすら再生可能
エネルギーに向かって動いている感があります。ドイツは今回の福島原発の事故が契機となって
「脱原発」を決めましたが、実は20 年も前から再生可能エネルギーの普及に努めてきました。
そういう背景も含め、ドイツのエネルギー事情についてお話をいただきました。
・第66回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
日 時: 2012年2月22日(水曜日) 18:00〜20:00
テーマ: 「世界と日本のエネルギー事情」
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 鈴木 俊光 (すずき としみつ)様 (関西大学名誉教授)
・講演資料:公開は3月9日金曜日で終了しました。
原子力発電所が定期点検の為次々と稼働休止したり、他方、イラン問題で中東からの
原油の輸入ルート確保に不安も出てきていますので楽観は許されません。
現時点における世界の主なエネルギー源は「石油」、「石炭」、「天然ガス」などの
化石燃料で、これらに加えて先進国を中心に「原子力」が増加しつつあります。
2月度の月例会では、関西大学名誉教授の鈴木俊光先生にお越し頂き、世界と
日本のエネルギー事情はどうなっているのか、についてお話頂きました。
「石油」、「石炭」、「天然ガス」や「原子力」などのエネルギー源の各国における消費量、
主として何に用いられているのか、又、天然資源の産出国では後どれくらい残っているか、
等を最近の統計データなどを用いて詳しくご説明頂きました。
・第65回月例会 −歴史・文化に親しむ会−
日 時: 2012年1月25日(水曜日) 18:00〜20:00
テーマ: 「和歌 日本人の言霊とこころ」
場 所: 梅田エステート・ビル5階
講 師: 冷泉 為弘 (れいぜい ためひろ)様 (下冷泉家20代当主)
下冷泉家20代当主の冷泉為弘様にお越し頂き、ご講演頂きました。
言霊(ことだま)とは、言葉に宿ると信じられている霊的な力のことで、萬葉集には、
『しきしまの 倭の国は 事靈の さきはふ國ぞ 福(さき)くありとぞ』
とうたわれています。又、「こころ」とは、「わび」という簡素、質素などを主とした
美的感性と、「さび」という明快さと物寂しさの感性のことです。藤原定家は、
『昨日まで 花の散るをぞ 惜しみこし 夢かうつつか 夏も暮れにけり』
とうたっているそうです。講演では、言霊とこころに係る伝統文化の数々の中から、
@和歌をはぐくみ育てた平安貴族とは、A和歌とは何か、B和歌ゆかりの先人(冷泉家縁の歌人など)
の思想やこころ、C現代に生きる私共が、和歌のよき世界を知ることの必要性などについて
お話しいただきました。
今までは、「和歌」というと、難しく取っつき難いものだと感じており
ましたが、冷泉様のお話をお聞きして、少し親近感を覚えるようになりました。また、
散文で書けば、原稿用紙3〜4頁に及ぶ内容を、31文字に凝縮する「和歌」は、
確かに頭脳を訓練するに相応しい世界のように思いました。
■講演・コンサート